井頭公園・花ちょう遊館 〜とちぎのスペースコロニー〜

温室訪問シリーズも、11施設を数える。今回は栃木編。宇都宮ろまんちっく村の温室も、すばらしかったし、何回も訪れてるとちぎ花センターもすばらしいが、今回もまたすごい。
栃木は隠れた温室充実県か?


栃木県の東側、真岡市にある井頭公園(東京の井の頭公園ではなく、こちらは「いがしらこうえん」)。そこにある「1万人プール」は栃木県民にとっては知らない人がいないというおなじみの場所らしい。その1万人プールから、広大な井頭公園の森の中を進んでいくと、突然ぽっかりと姿を現す「花ちょう遊館」。丸いドーナッツ形のドームはまるで月か火星にあるスペースコロニー。そのガラスのドームの中にびっしりと詰め込まれた緑が見える。


ガラスの外側からも、外界とは違う異空間が、このドームの中にあることが伺える。
前情報が少なく、期待していなかったが、予想に反して密度の高いジャングルの姿に期待が膨らむ。


「花ちょう遊館」というからには、植物園の温室によくある、鳥がいるパターンか?蝶がいるパターンか?
今回はそのどちらも。ということで両方掛けての「ちょう」の字がひらがなということか。

この日は春の休日。少し早めの桜の開花と、いろいろなスポーツイベントなどもあり、場所によっては多くの人が集まっていたが、花ちょう遊館のまわりはひっそり…

 


無人の入場口から、410円を払っていざ入場。
それにしても閑散としている…


入り口はよくあるパターンの、ごちゃごちゃ鉢植えが置いてる感じ。


さすが花ちょう遊館。鳥や蝶が逃げないためのプラスチックの鎖カーテンをくぐる。柄はなぜかカメレオン?


入っていきなり、りっぱなモンステラがお出迎え。これはモンステラマニアとしても期待が持てる!?
そして横を振り向くと…


おお〜
このチューブが続く感じ!
外から見たとき以上に、まさにスペースコロニー 。
外の気温は、桜が咲いたとはいっても、まだ半袖じゃ肌寒いくらいだが、ここは完全南国ジャングル。外の世界とは切り離された別世界だ。
すでになにやらトロピカルな鳥の鳴き声が。

スペイシーなチューブが続いていく。手前には鳥のえさ箱がある。

ジャングルの茂り具合が、温室の歴史を物語る。


ドーナッツ状のチューブの内側には中庭が見える。

鳥発見!トロピカルだ。

そして、突然昭和な柄のパラソル!
ここにもえさ箱。
そしてモンステラ。モンステラ率もかなり高い。

下のフロアが見える。今までは2階通路を歩いていた格好だ。
下には水の流れもちらり。

パラソルの脇から、下の階へ降りる洞窟階段。
岩の洞窟にモンステラは熱帯植物温室の定番演出だ。上には巨大なビカクシダ。


見事なモンステラの葉を仰ぎ見る。


鳥?!ではなく、極楽鳥花。


と思ったらまたきれいな本物の鳥が、洞窟の入り口にとまっていた。
館内には、トロピカルな鳥の声が響いている。


意外と暗くて長い階段。


そして出口にまたモンステラ。ここの “モンステラ度” はぴかいちだ。



おっと、これはモンステラではなく、ハブカズラか?種類は違うが、形も近いし、実の形も似てる。

そしてまた美しい鳥発見。

階段洞窟の出口を振り返るとこんな感じ。こちらもモンステラに覆われている。


そして洞窟の側面を見上げると、見事がモンステラたちが天井まで伸びている。
先ほど通っていた2階の通路と昭和なパラソルが見える。
写真では見えないが、このモンステラの間から、水が流れてる。


それが流れとなって、流れの両脇に通路。そして橋もある。


2階はジャングルを上から眺める感じだったが、こちらはよりジャングルのなかを歩く感じで、天井も高く、きもちいい。



定番のタビビトノキ。そして足元にはモンステラ。


水辺を歩く感じになっているので、水辺の植物も多い。こちらはシュロガヤツリ。

モンステラは水辺にもに合う。
そして突き当たると、大きな滝が現れる。また見事なモンステラ。



きれいな水に、きれいなヒゴイ?
ベンチもあるので、ひと休み。

滝からの帰り道は、流れを挟んで、対岸を歩く。
レイアウトがうまくできている。


お、これは?
名前が書いてなかったが、日本での分類の間違いが修正された後の、これが本当のモンステラ・アダンソニーか?

今まで、鳥の名前はオニオオハシくらいしかわからなかったが、鳥の名前がやっとわかる。
熱帯温室は鳥がいるだけで、ぐっとトロピカル度があがり、リアリティーが増すからいい。
今まで鳥がいた温室は、IZU・WORLD みんなのHawaiians(元伊豆洋らんパーク)(閉館)、アロハガーデンたてやま(元南房パラダイス)井の頭公園 熱帯鳥温室(閉館)と閉館してしまったものも多い。


折り返しを進むと、2階から下りてきた洞窟階段の下をくぐる。
また鳥よけカーテンが見えてきた。


カーテンをくぐると、小さな隔離された温室


鳥小屋と亀やイグアナのいる小屋がある。


そしてまたすぐにカーテン。
そこをくぐると、そこから先は「サバンナゾーン」となる。ちなみに今まで歩いてきたのは「トロピカルバードゾーン」だ。


サバンナゾーン。



トロピカルゾーンから一転して、乾いた雰囲気。しかし、よくあるサボテン館よりは、サボテンが少なく、奥に芝のようなものが生えているように、すこし草原のイメージ。
ちゃんとサバンナを再現しているのか?



こちらは放し飼いではなく、鳥小屋にかわいいインコたちがいた。


この草はサバンナの草原なのか?


美しいアロエの花。


これは庭に植えると泥棒よけにもなるというマダガスカル原産の「ハナキリン」


こちらはサイザルアサ。あの温泉の更衣室の床にあるやつか。
こんなアガベみたいな植物だったとは。

サバンナゾーンを抜けると、こんどは「チョウゾーン」。
トロピカルバードゾーン、サバンナゾーンときて、“チョウ”ゾーン。
バタフライゾーンではなく、チョウゾーンだ。


チョウがたくさん!ひらひらひらひら。


これは綺麗だ、と思うか、苦手だ、とおもうか…
ぜひ綺麗だ!と思っていただきたい、が。


チョウの数がすごい。しかし写真だと全然わからない…
なので、YouTubeにアップしてみたので、こちらで実感していただきたい。

以上でドーナッツ状の温室は終了。
それとは別に、入り口の端にもう一つ小さな温室、「高山植物館」がある。

小さな温室に、ジオラマのように山の斜面が広がっている。
しかも遠くの山まで見える!?

背景の写真が貼ってあって、うまく撮影すれば、本当に山に登った気分!?
このパターンは新しい。

本当にジオラマのようにうまくレイアウトされている。ここにも小さな流れもあり、まるで雪解け水が流れているアルプスの沢のようだ。
そして、様々なかわいい花が満開。
説明ボードを見ると、なるほど、ちゃんと開花をコントロールして、いつでも花が見れるように管理しているとのこと。

これで井頭公園・花ちょう遊館は終了。
充実していた。

しかし全くノーマークだった。今回ここへ来たのも、実は別件の用事があり、その時はじめてここにも熱帯温室があることを知っての訪問だった。
やはり温室はいい。そして、この花ちょう遊館は、今まで訪問した中でも、間違いなくかなり上位の充実度。

まわりの公園も、巨大でよく整備され、1日ではまわりきれない規模だ。
マップを見ると、温室の奥には広大な自然植物園、湿地植物園、バラ園、菖蒲園、釣り池などがあるという。



それにしても閑散としている…
最初にも言ったが、今日は桜も満開間近の春の休日。同じ公園内でも、まわりではたくさんのイベントが開かれ、あちこちでは、ものすごい人が集まっている。
にもかかわらず、この温室のまわりのひっそり感…

先月も長崎の植物園が閉鎖になって、膨大な植物をどうするかという問題を抱えてる記事が新聞に出ていた。
昨年は、このブログでも絶賛したIZU・WORLD みんなのHawaiians(元伊豆洋らんパーク)が閉鎖された。
井の頭公園 熱帯鳥温室もなくなってしまった。あの植物や鳥たちもどうなっているのだろうか。

世の中は空前の「熱帯観葉植物ブーム」だ。雑誌では連日植物特集があり。若者はおしゃれな観葉植物ショップに集まり、インテリアに置いた植物をせっせとインスタグラムにアップしている。
にもかかわらず、植物園の温室は何故こんなに人気がないのか。
認知されていないだけではないのか?モンステラマニアを18年もやってる僕でも、まだまだ知らない温室がこんな近くにあるのだから。

温室に行ってみればわかる。この異空間はたのしい。
今回も、よく茂ったジャングルの、外の世界とはまるで違うトロピカル異空間、さらにアマゾンとアップルの最新新社屋を合体させたかのようなドーナッツ状の未来感ある建物が充分楽しめた。
しかし後もうちょっとというのも感じる。
どんどんなくなっていく前に何かしなくては…

ということで、みなさん、まずはお近くの温室へ、是非足を運んでみよう!

 

★★★【情報】★★★

【規模】中型。滝あり、流れあり、2層回遊。鳥、チョウがいる。

【栃木県の施設】大人410円、65歳以上120円、小中高校生200円

【スペースコロニー度】★★★★
【ジャングル度】★★★★★
【モンステラ度】★★★★★★★★★★
【モンステラ滝度】★★★★★
【カフェ度】なし
【トロピカル度】★★★★

2018-06-07 | モンステラ・植物