【モンステラマニア日記】Go To Jungle
モンステラマニアにおいて、観葉植物は「インテリア」である。僕にとってインテリアとは、日々の暮らしを気持ちよくすごす場であって、そこには自分の好きな椅子があって、テーブルがあって、ソファーがあって、レコードプレイヤーがあって、コーヒーカップがあって、ペンダント照明がぶら下がっていて、壁には絵が掛けてあって…、そういう場所である。そしてそんなインテリアアイテムの一つが観葉植物なのだ。だから全体のバランスの中でモンステラがあり、コルディリネがあり、アガベがある。それぞれのデザインの調和が大切で、僕の場合はミッドセンチュリーデザインが基本なので、それにあわせた家具と植物を置いている。当時流行っていた植物や、植木鉢のデザインなども意識する。
今までWEBやSNSで、「観葉植物は置きすぎない」ということを何度も書いている。観葉植物を買うと、それそのものの魅力にとりつかれ、次から次へと欲しいものが出てくる。もう十分植物で満たされているのに、ふらふらと観葉植物の店をのぞいてしまう。そしてついつい目についた魅力的な形の植物を手に取ってしまい…。そしていつのまにか鉢は増えていく…。気づけば部屋はジャングルだ。これがありがちな観葉植物にはまったものの末路である。
過去にインタビューを受けた時にも「観葉植物にはまると、すぐにジャングルにしたくなるんです。インテリアの上級者はそうならないようにしているのです」と答えたことが何度かある。何と高飛車な答えか…自分で言っておいて何だが、何様だ…
観賞植物で部屋をジャングルにしてしまう人々、観葉植物にはそれだけの魅力がある。一つとして同じものがない様々な形、伸び方、仕立て、品種の希少性、コレクションの対象として完璧だ。集めずにはいられなくなる。「インテリアは日々の暮らしを気持ちよく…」そんなもの、好きなものに囲まれていれば人間はしあわせなのである。コレクターの部屋は、インテリアの善し悪しなど無縁の、自分だけの宇宙として、そこに住む人にとっては他に代え難い空間なのだ。椅子のコレクターは家中椅子だらけ。フィギュアのコレクターは、壁から床までフィギュアが飾られる。鉄道模型マニアは、家中に張り巡らされた鉄道模型のジオラマで身動きが取れない程になる。なにも、モデルルームのような部屋だけが良いインテリアじゃない。(家族との戦いはあるかもしれないが…)
僕だってジャングルにしたいのだ。インタビューではあんなことを言っても、日々新しい植物が欲しくなる気持ちを抑え、それを自分に言い聞かせて「全体の調和が大切…」などと言っているのかもしれない。風変わりな形のサボテンを壁際に大量に並べたい。斑の入り方を研究したい。食虫植物を、ビカクシダを何種類も育てたい。しかし、僕の場合は、大好きなミッドセンチュリーデザインのインテリアも維持したい。日々その葛藤なのである。どちらも実現するような大きな家にも住んでいない。でも夢はある。それはマイ温室!
モンステラマニアでは熱帯温室紹介コーナーがある。TOKYOWISEでは熱帯温室応援コーナーを書いている。熱帯温室は、まさに別世界ジャングル。いつかマイ温室をつくってジャングル化の欲求を爆発させる。温室は三角屋根型のクラシックなデザインにしようか、ドーム型の近未来型にしようか、それともいっそ部屋と一体になった温室のような家にしようか。ミッドセンチュリーデザインなリビングを抜けると、サンルーム的に続く小さな温室が現れ、温室の中にも椅子やテーブル、ソファーが置かれ、お茶などを飲んでくつろげる。
そもそもミッドセンチュリー名建築の中には、部屋の中に温室のようなジャングルを取り入れているものも多い。当時のモダン建築は、室内と外の連続性や、室内への外の取り込み、エキゾチック文化へのあこがれから熱帯植物を置くなどの実験がされてきた。ジョン・ロートナーの建築などはその際足るものだが、そんな豪邸はさすがに無理か…。
平屋のシンプルなミッドセンチュリーモダン建築の先に小さなガラスの温室がつながってる、そんな家にいつかは住みたい。
それまでは、我が家の温室?、水槽の多肉植物たちと、イームズハウスの移動式植物コーナーを模した、ミニミニ移動植物置き場をもっと格好良くするアイデアでも考えていよう。
2020年 7月 22日 梅雨が明けない…