60年代マンション
世の中不景気といっても、TOKYOの建築スピードというのは、すさまじいものがあります。
数年前に景気が後退したタイのバンコクを訪れたときに、鉄骨が組まれたまま、途中で建設ストップした廃墟のようなビルをいくつも見ましたが、TOKYOでは、全くそんなものを見ることもなく、それどころか、マンション、億ションの建築ラッシュ。都心の大規模開発プロジェクトなど、その辺のアジアとは違うお金の流れに、やはり日本はすごいのか??と感心したりもします。
そうやって、相変わらずTOKYOの古い建物はどんどん壊され、今年はいよいよ表参道の同潤会アパートもこわされますね。
今年、60年代に建てられた古いマンションに引っ越すことになりました。古いマンションには不便も多いですが、今のマンションにはない雰囲気やゆとりなど、魅力もたくさんあります。今回の物件は1968年建設で、共用廊下と玄関が、ずっと続きの石張りで、中庭には桜の木と鯉が泳ぐ池。窓を開けると池の水の音が聞こえます。
最近は古いマンションの建て替えをスムーズにしようと、新建て替え法なども議論されて、ますます、こういった古いマンションが無くなっていくのは寂しい気もします。
インテリアだけではなく、建物や車なども、古いものに魅力を感じることが多いですが、耐震問題や、環境問題などを考えると、椅子やテーブルみたいに、単純に古いものがいい!とは言えない難しさもあります。しかし、地震に耐えられないから、排気ガスが汚いから、新しいものへ・・・というばかりでなく、そういった問題を乗り越えて、古いものを大事に残すにはどうしたらよいか、ということをもっと考えていきたいものです。
そのためにはまず、車は10年が寿命とか、マンションは30年・・60年などという、一律の寿命年数という考え方をやめて、はじめにしっかりしたものをつくれば、メンテナンスをしっかりすれば、寿命はいくらでも延びる、という考え方で、個々の耐久性というものをもっと数値化していくべきだと思います。不動産としては、内装をきれいにして、メンテナンスをいくらしっかりしていても、築30年もすぎれば、建物の資産価値が全くなくなるというのは問題のある考え方です。
子供の頃に大地震を経験してる僕は、耐震性なども、とても気になるところですが、中古マンションなどで、そういった性能を調査したデータが表示されているものはほとんどありません。鉄筋コンクリートの寿命の基準である、コンクリートの被り厚なども、管理会社に聞いてもわかりません。図面が残っていない場合も多くあります。
建て替えをスムーズにすることも、ひとつの方向ですが、こういった問題を解決して、古いものを大事に、安心して残し、利用できるようにしたいものです。
現在のユーズド家具、ヴィンテージ家具ブーム、建築ブーム、デザイナーズマンションブームの後は、ユーズド、ヴィンテージマンションブームがきっと来るでしょう?!。そのときのために!?