タイトル【The Ice Show】

ピョンチャンオリンピックも終盤。
結果ではないといいながら、長野オリンピックを越えるメダル獲得数で、ついつい盛り上がってしまう、スポーツ観戦大好きな私…。まだまだすばらしい戦いが続くが、やはり羽生選手の2連覇金メダルはすばらしかった。

フィギュアスケートの二人の金メダリスト、荒川静香と羽生弓弦は、ともに私と同じ仙台出身だ。
あまり知られていないが、フィギュアスケートの日本発祥は仙台とされ、子供の頃から仙台城址(私にとっては青葉城址と言った方がなじみがあるが)の麓にある五色沼(フィギュアスケート発祥の地の看板がある)を、父親の運転する車で通るたびに教えられたのを覚えている。

その「発祥地」が関係していたかどうかわからないが、姉がフィギュアスケートをやっていて、国体などにも出るほどであったため、子供の頃からテレビでもフィギュアスケートをよく見ていた。姉が、仙台でのスケート大会の関係者だったときに、選手の演技と演技の間に、氷のでこぼこを埋めるという氷整備のアルバイトをやったことがあり、その大会には小学生だった荒川静香選手もいた、はずである(姉は、いなかったのでは?といっているのだが…)

私が子供の頃に、現解説者の佐野稔や渡部絵美が世界選手権で銅メダルを取ったのを覚えている。その後伊藤みどりなどの活躍もあったが、世界との差は遠く感じたものだった。まさか男女ともメダリストが、たくさん生まれることになるとは思ってもみなかった。
そして今回、ピョンチャンでの羽生と宇野のワンツーである。今は少しロシア勢に差をつけられている女子も、是非がんばって欲しい。

これほどフィギュアスケートを子供の頃から見てきたにもかかわらず、実は会場で実際の試合を見たことがほとんど無い。子供の頃に姉の大会を見に行ったことと、氷整備バイト時の、子供たちの滑りを見たくらいだ。
一度見に行ってみたいとも思うが、フィギュアスケート観戦ブーム全盛とも言える今、チケットはかなり取りにくいらしい。

スポーツでありながら、もともとエンターテインメントの要素も強いフィギュアスケートは、試合のあとに選手がショーを見せてくれる“エキシビション”があるという、変わった面もある。
さらに最近は、“STARS ON ICE”など、世界のメダリストなどが参加するアイスショーも、日本人が多く参加していることもあり、大人気だ。

そんなショー的要素の強いフィギュアスケート。アメリカでは古くから“氷上レヴュー”としてアイスショーが行われてきた。今回「アイスショー」について、少し調べてみた。

アメリカでは三大アイスショーとして“Holiday on Ice” “Ice Capades” “Ice Follies”があった。一番古いのが1936年にスタートした“Ice Follies”。後に続いて1940年に“Ice Capades”。1943年に“Holiday on Ice”が始まる。“The Ice Follies of 1939”という映画も、当時つくられ、盛り上がっていたらしい。

今、NHKの朝ドラ“わろてんか”で、何とか日本公演を実現しようとしている「マーチン・ショー」のモデルといわれる「マーカス・ショー」の日本公演がおこなわれたのが昭和9年(1934年)。その2年後には、このようなアイスショーがアメリカではスタートしていたということだ。

これらのショーは、ピンナップガール的イラストの当時のポスターもネットで出回っているので存在は知っていたが、今回調べてみて、実際のショーの映像も、YouTubeでたくさん見ることができるので、見て欲しい。

3つのショーは50年代から70年代にかけて人気を博したが、80年代に衰退してしまったようだ。
1981年に“Holiday on Ice”と“Ice Follies”は合併し、あのDisney on Iceをスタートした。

そしてそれぞれのショーは80年代に終了してしまった。
下に“Holiday on Ice”と“Ice Capades”のファイナル公演の映像があった。“Holiday on Ice”のファイナルが1985年となっているので、ディズニーオンアイスと平行しておこなっていたのだろうか。

日本のアイスショーは、1978年に、プリンスホテルの品川スケートセンターで、当時引退したばかりの佐野稔が中心となって開催された“VIVA ! ICE WORLD”が最初とのこと。
そういえば、今よりずっとテレビに出ていた佐野稔や渡部絵美。このアイスショーの宣伝的な意味も大きかったとか。佐野稔は、アイスショーを広めることに情熱をそそぎ、当時cmでもやっていた気がするが、今ではアマチュアは禁止の技「バックフリップ(後方宙返り)」も、アイスショーの目玉とするために習得したらしい。

80年代は、アメリカのレヴュー型のアイスショーも衰退期だったので、日本のアイスショーもずいぶん苦労したようだが、1988年に“Prince Ice World”に改称し、現代でも続いている。
アメリカでも、「氷上のレヴュー」というイメージから、オリンピックのメダリストのエキシビションとしてのショーに変化し、1969年にはすでに“Chanpions on Ice”が、1986年には“Stars on Ice”がスタートしている。

荒川静香が金メダルを取って以降は、浅田真央、安藤美姫、高橋大輔など次々と生まれるスターのアイスショーへの参加により、日本のアイスショーはすっかりプレミアムチケットとなっていった。
現在は“Prince Ice World”、荒川静香がプロデュースしている“Friends on Ice”。そのほか“Fantasy on Ice” “The Ice”など数多く催され、同時にアメリカの“Stars on Ice”も日本での公演が盛んに行われて人気だ。
一方で“Chanpions on Ice”は2007年に経営破綻したとのこと。

ということで、日本と世界のアイスショーの歴史を見てきたが、アスリートたちのエキシビションが中心の現在は、イラストやYouTubeで見れる様な衣装を着た氷上レヴューはもう見れないようだ。

外国人観光客がたくさん訪れるようになった今の日本で、外国人をもてなすショーなどの夜のエンターテインメント(ナイトライフを満たす)が少ないというニュースをよく耳にするが、フィギュアスケート王国の日本は、メダリスト意外にも、多くのレベルの高いフィギュアスケーターもたくさんいるのだろうと思うと、その受け皿にもなり得るような新たなアイスショーも出てきたら楽しいのに、と思ったりする。

タイトル【The Ice Show】可憐アスリートバージョン