horaisyo2014

「モンステラの実はバナナとパイナップルを合わせた味」についていろいろ調べていたら、「モンステラの実はバナナと梨の味、和名の鳳莱蕉は、パイナップル(鳳梨)とバナナ(香蕉)を混ぜたような味という事が由来」ということを書いているサイトやブログが複数あった。

初めて聞いた。

さらにそこで、モンステラの和名「ほうらいしょう」を「鳳莱蕉」と書いているのを見て、味の由来だけではなく、「ほうらいしょう」の漢字が、3種類あることに今更ながら気づいたのだ。僕がいつも使っていたのは「蓬莱蕉」、パイナップルとバナナ説で使われてるのが「鳳莱蕉」、そのほかに「鳳来蕉」というのがあった。

一体どれが正しいのか?! 一つ一つ検証してみよう。

weblioで検索すると、なんと「三省堂 大辞林 」の方では「蓬莱蕉」と表示され、weblio植物図鑑の方では「鳳来蕉」と表示される…。ちなみに「蓬莱蕉」「鳳莱蕉」ともに検索してみても、「モンステラの和名」とか「別称」とでる。
wikiでは「鳳莱蕉」が使われていた。

Googleで検索するとそれぞれ

「蓬莱蕉」約350,000件 もしかして「鳳来蕉」ですか?とでる

「鳳莱蕉」約1,200,000 件 だんとつトップ!

「鳳来蕉」約5,370 件 もしかして…とでたわりには、いちばん少ないじゃないか…。

それぞれの言葉を調べてみる。

「蓬莱」はgoo辞書によると

 1・中国の神仙思想に説かれる三神山の一。山東半島の東方海上にあり、不老不死の薬を持つ仙人が住む山と考えられていた。蓬莱山。蓬莱島。よもぎがしま。

 2・富士山・熊野山など霊山・仙境の異称。

「鳳来」は、辞書でも単体では掲載されず、愛知県にある、鳳来寺、鳳来寺山のことしか書いていない。
鳳来寺が、字が表しているとおり、「鳳凰がやって来た」ところから来ているので、「鳳来」はそういう意味しかないのだろう。

それでは「鳳莱」は?

辞書には出てこない。webで調べると、お店の名前ばかり出てくる。
もしかして、「蓬莱」の誤用なのでは?と推測してしまう。

では「蕉」という字はどうか?
日本には昔から「芭蕉」という植物がある。松尾芭蕉、バショウカジキ、芭蕉せんべい。芭蕉という言葉は古くからわりと良く耳にするおなじみの言葉。芭蕉の葉のように大きく広く広がったものに○○芭蕉とか○○蕉とつけられることが多い。

「芭蕉」という植物はどいういうものか。

中国原産で古くから日本に根付いているバナナに似た植物とある。英名は「ジャパニーズ・バナナ」である。バナナは分類的には「バショウ科」に属している。

また、バショウ科ではないが、「蕉」の字が当てられている植物はほかにもある。

ソテツは【鉄蕉】てっしょう。
中国ではコルジリネ ’アイチアカ’を【朱蕉】というらしい。

芭蕉が中国原産で日本に根付いたものであるように、南方系の植物には「蕉」の文字が当てられやすい気がする。
ちなみにモンステラの漢名は「龟背,蓬莱蕉」だった。

では「パイナップルを表す和名「鳳梨(ほうり)」とバナナを表す和名「香蕉(こうしょう)」が鳳莱蕉の語源」だという説をあらためて検証する。。

「鳳梨」というのは和名というよりは漢名のようだ。バナナの和名は「実芭蕉」「甘蕉」という文字の方が多い。「蕉」という字を調べてわかったように、「蕉」という言葉はバナナに由来するというよりは、葉が大きい意味だったり、芭蕉のようなという意味で、芭蕉という日本に昔からある植物より、バナナに由来する方が不自然に感じる。「莱」は?どこいっちゃったの?ってこともあるし、少しこじつけな気がする。

検証結果。

モンステラの和名「ほうらいしょう」に当てられる漢字表記は、「ほうらい」の意味、芭蕉との関係、中国語で「蓬莱蕉」ということから、「蓬莱蕉」が正しいということにする(モンステラマニアではね)

ここで思い浮かぶのが、主に日本でも北の方に咲く、有名な「水芭蕉」
水芭蕉の由来は、葉が芭蕉ににていることから来ているらしいが、あの水芭蕉の花、モンステラの花にめちゃくちゃそっくりだ!
とおもったら、水芭蕉はサトイモ科ではないか。どちらかというと東北の涼しい山にあるイメージなので、サトイモ科とはおもわなかった。クワズイモも、カラーも皆似た花をつける。
さらにふと思ったことが…
モンステラデリシオーサは蓬莱蕉だが、他のものは「マドカズラ」「ハネカズラ」と、「カズラ」がつく。熱帯観葉植物では、モンステラによく間違えられる「ハブカズラ」、「マングーカズラ」、ポトス属は「スズノハカズラ」。
カズラという言葉がつく植物もすごく多い。
「カズラ」は「葛/蔓」。蔓状の植物に良くつけられるようだ。
モンステラの仲間は蔓状だし、葉も大きいし、ということで、日本では芭蕉系に入れられたり、蔓系に入れらりたり、とわかれるのだろう。

ひょうんなことから疑問を持った「ほうらいしょう」の漢字。調べ出すとおもしろ。

和名の由来をもっと調べてみたくもなるが、今日はこのへんで。