くうさん
モンステラの挿し木の基本について
* 挿し木を行う時期
モンステラの場合、最低気温が20℃以上で平均気温が25℃位の時期が最適ですが、一般的に梅雨の最中が
湿度も高くこれから生長期に入って行きますので、挿し木に最適です。
挿し木の為に切った部分には根がありませんので、水分を吸収する能力が衰えており、その状態でも水分は蒸
発して行きますが、葉がついている場合は、蒸散により更に多くの水分が失われて行ってしまいます。
この時、空気が乾燥していると挿し木から蒸発して行ってしまう水分は多くなりますので、梅雨時は湿度が高
い上に、温度条件も最適で挿し木にとっては条件が良いのです。
梅雨時で無くても、モンステラが元気に生育出来る温度が保たれる時期であれば挿し木は可能ですが、遅くと
も秋の初め迄に行って下さい。これは、挿し木が根を張ってある程度生長力を蓄えていないと越冬出来ない可能
性が出て来るからです。
* 挿し木を行う部分
挿し木をする時に、天葉(一番先端の葉)の部分を挿し木する事を特別に「天挿し」と呼んでいます。
通常の挿し木は、茎の部分を使用します。モンステラの場合は、「葉挿し」は出来ません。
挿し木を行う場合は、先端部分のまだ若く軟らかい部分の方が年数を経て木質化した部分よりも葉・根の伸長
が早く挿し木が容易だと言われています。
木質化した部分や年数が経過した茎の部分で挿し木を行うと、発根する迄に時間が掛かり過ぎてしまい根が出
る前に枯れてしまう事もある様です。
とは言っても、モンステラは挿し木の成功率が高い植物なのであまり心配要らないかも知れません。
* 節の有無
挿し木を行う茎に節の部分を含んでいるかと言う事が重要です。
節と言うのは葉が生えていた跡で、この部分周囲から気根や新芽や根を出して来ますので、節がある事と節が
挿し木時にきちんと埋まっている事が重要です。
気根も土に入ると根に変化する事が多い為、気根も同時に植え込んでやる事は有効です。
* 挿し木の葉
葉を付けた状態で挿し木を行うと、葉で光合成を行って根が生えて来る迄の間の栄養不足を補ってくれたり、
成長ホルモンの生成が行われる事が期待出来ますが、活発な蒸散が起きると大量の水分が失われて挿し木が弱っ
てしまいますので、葉の数や面積が多過ぎる場合は、葉の枚数を減らしたり、大きな葉を半分に切って面積を減
らす等の対応が必要になります。
* 切断面
挿し木は発根する迄の間は、茎の切断面から直接に水を吸う事になりますので、切断時に茎の導管を出来るだ
け破壊しない事が重要です。
良く切れる清潔な刃物(カッターナイフやカミソリ)でスパッと言う感じで切って下さい。ハサミによるカッ
トは、茎を潰しながら切断する事になりますので、吸水能力が極端に落ちてしまい挿し木に失敗する可能性が高
まります。刃物に雑菌や油がついている等も厳禁です。
* 吸水
挿し木の切り口をきれいにカットしたら、メネデール等の発根促進剤の希釈液に暫く浸けて置いて十分に水分
の吸収をさせて下さい。このまま、発根する迄水挿しを続けても構いません。
* 用土
清潔で肥料分を含まず、通気性・保水性・排水性が良い用土が必要です。挿し木用の用土が売られていますし、
バーミキュライト・赤玉土等を使用します。
モンステラの場合は強いので、直接観葉植物用の培養土に挿し木している方も多い様です。
挿し木を挿す位置に予め割り箸等を使って穴を開けておき、その穴に挿し木を挿しこみ周りの隙間を埋めると
言う方法で植え込みを行って下さい。挿し木を下穴を開けずに直接土に挿すと切断面を傷つける事になりますの
で止めて下さい。
* 仕上げ
発根促進剤を十分に吸水させたら用土に植え込みます。
* 鉢上げまでの管理
挿し床は、直射日光・強風を避けた場所に置いて下さい。
水遣りは、基本通り「乾いたら十分に」です。底面吸水鉢だと管理が楽かも知れません。
水切れには十分注意する必要がありますが、逆に水を遣り過ぎて過湿状態になってしまうと茎が腐ってしまい
挿し木に失敗してしまいますので注意が必要です。
葉がある場合は、定期的に霧吹き等で葉水を与えて空中湿度を高め蒸散を抑えて下さい。
後は、新芽が展開して鉢底等から根が見えたら、普通の用土への植え替えを行います。
(挿し木の教科書をモンステラ用に少しアレンジしています)