Monstera Encylopediaモンステラ百科

Monstera Mania

Varietiesモンステラの種類

モンステラの種類

モンステラは大きくはクワズイモ、アロカシアなどと同じサトイモ科に属し、モンステラ属としては25種類とも、40種類あるとも言われています。
主に熱帯アメリカ原産で、クワズイモ科モンステラ属。

「モンステラ」はラテン語で「怪物」とか「異常」という意味で、モンスターと語源が同じではないかと思います。あの独特の葉の形状から来ているので しょう。日本では「蓬莱蕉(鳳来蕉(ほうらいしょう)」とか「デンシンラン(電信蘭)」と呼ばれたりもするようです。「デンシンラン(電信蘭)」は茎から どんどん伸びてくる気根から来ているらしいです。その他に、イギリスなどでは「スイスチーズプランツ」と呼ばれている話を聞きました。トムとジェリーに出 てくるチーズのように、丸い穴がたくさん開いていることから、そう呼ばれているようです。
その他に“ceriman”とか“fruit-salad plant”などの呼び名を聞いたことがあります。

モンステラ属の中には、ハネカズラなど、いわゆるモンステラの形とは全く違う種類もあります。
ここでは、主に日本で販売されている、いわゆるモンステラ・デリシオーサの特徴的な葉の形をしている物だけについて解説します。マドカズラも省きます。

日本で売られているモンステラには、大きく分けて2種類あると思われます。
しかし2010年くらいに、モンステラの分類が少し変わったという経緯があります。
この「モンステラ・マニア」でも過去の分類は、下記のようになっていました。

—— 旧分類 ——
モンステラ・デリシオーサ
モンステラ・ペルツーサ
モンステラ・アダンソニー
モンステラ・ミニマ

上から大きく育つ種類、下へ行くほど小さい葉っぱの種類ということですが、ミニマ以外は、境目は曖昧で、
ペルツーサやアダンソニーを育てていたら、大きくなってデリシオーサだったということもありました。
また、「ヒメモンステラ」として売っている物も2種類あり、アダンソニーだったり、ミニマのことをヒメモンステラとして売っていたりします。

しかし、2006年くらいから海外で、2010年くらいから日本でも、モンステラの分類について解釈の変化があったようです。
このモンステラ・マニアのBBSでも、2011年にTeToさんの書き込みから、モンステラの分類の変化について、議論が繰り広げられました。

今ではおおむね下記のようになっています。

—— 新分類 ——
モンステラ・デリシオーサ
モンステラ・ボルシギアナまたは、デリシオーサ以外の物…
(それぞれ斑入りもある)

ラフィドフォラ・テトラスペルマ ← 旧モンステラ・ミニマ

モンステラ・デリシオーサ

モンステラ・ボルシギアナ

ラフィドフォラ・テトラスペルマ ← 旧モンステラ・ミニマ

斑入りのモンステラ・デリシオーサ

斑入りのモンステラ・ボルシギアナ

デリシオーサはそのままに、ペルツーサや、アダンソニーといわれていたものは、海外ではマドカズラの大きい物だったりと、日本と海外でギャップがあり、どうやら日本に間違って伝わっているのではないかということです。ボルシギアナという名前も使われているのですが、はっきりしません。
小さいモンステラも、環境のいいところで育てると、デリシオーサだったりすることが多く、そもそも種類が同じなのではという話しもあります。

小さくても切れ込みが大きく、穴が空いたりするコンパクタという園芸種も存在しますが、ボルシギアナやデリシオーサでも、環境によってそのようになったりするので、そのあたりもはっきりしません。

これらについては、過去のBBSでかなりマニアックな議論がありました。海外のサイトや、国際サトイモ科協会のページ、古い書物なども参考にしながら、結局デリシオーサ以外の種類についてははっきりしないという結論になっています…。
詳しくは過去のBBS記事をご一読ください。

いちばん大きく変わったのは、ミニマといわれていたものが、そもそもモンステラの種類ではなかったということです。
原産も、東南アジアであることがわかり、ラフィドフォラ属になりました。

旧モンステラ・ミニマ→ラフィドフォラ・テトラスペルマ

これについても、過去のBBSで議論がありました。
今では、多くの書物で、「モンステラの仲間であることは間違いで」というように書かれていますが、2010年以降に分類が変わった物です。
いまでも、ヒメモンステラとして売られているのもよく見かけます。

これらは、いわゆるモンステラの形状をした物の分類で、モンステラ属としては、穴の空いた葉の「マドカズラ」や、全く葉の形が違うハネカズラなどいくつか種類があります。
また

デリシオーサやボルシギアナには、それぞれ斑入りの種類が存在します。

モンステラに近い仲間で、フィロデンドロン属というのもあります。フィロデンドロン属も非常にポピュラーで、種類がたくさんあります。たまにモンステラと間違えられたり近い物として紹介されるセロームやクッカバラなどもフィロデンドロン属です。
また、販売店でよく波違って表記されているものに、ハブカズラというものがあります。こちらはポトスなどと同じ仲間のエピプレムヌム属です。

モンステラとフィロデンドロンの表記についても混乱する情報がたくさんあります。
こちらも過去BBSをご参照ください。

最終的に、現在の分類は、「モンステラ・デリシオーサとそれ以外」という、乱暴な表記になってしまいましたが、植物園などをまわっていると、明らかに切れ込み方が違うなと思う物が時々あります。環境から来る形状ではなく、種類の違いなのではないかという感じですが、過去に、家で育てていたモンステラの中の葉の一枚だけが、そういう感じの切れ込み方、穴の空き方をしたことがあり、やはり種類ではなく、環境による物なのか?謎が深まるばかりです。
分厚い書物や海外のサイトでは、もっとたくさんのモンステラが紹介されています。英語版のウィキペディアでも48種類紹介されています。
日本にも少しずつ、新たな品種がはいってくるかもしれないですね。

以前はモンステラの種類について「モンステラを見分ることは不可能論」というタイトルで紹介していたのですが、このように誤った情報が入ってきていたり、園芸業界で勝手に名前をつけたりして、混乱していたことが原因かもしれないですね。
分類を議論することは楽しいですが、それに振りまわされずに、楽しく育てるということも重要です。

ということで、このモンステラ・マニアのWEBサイトでは、過去にラフィドフォラ・テトラスペルマがモンステラ・ミニマとして扱われていたため、育て方や仕立て方にはそのまま登場しているところもあります。ご了承ください。モンステラ属ではなくなったミニマですが、僕の中ではモンステラ族として扱っています…。

穴の空き方が普通じゃないモンステラ。切れ込みより外側まで穴が空くのはあまり見たことがない。(栃木花センター)

切れ込みが異常に深いモンステラ(新宿御苑)

見事なラフィドフォラ・テトラスペルマ ← 旧モンステラ・ミニマ

偽物にご注意

モンステラ属ではないのに、モンステラによく間違えられる植物があります。いちばん多く間違えられるのが「マングーカズラ」です。園芸店ですら、「マングーカズラ」と「モンステラ」の名札が、あべこべにつけられていたこともあります。また、知り合いで、有名な園芸店に「モンステラ」を注文したところ「マングーカズラ」が届いて、その知人は本物のモンステラを見たことがなかったので、僕に指摘されるまで気づかなかった、なんてこともありました。よく見ると、すこし“しおれた”ように、葉が“しなっ”としていて、葉脈の筋がはっきりとし、本数も多いので、すぐわかります。似ているけど、モンステラの方が断然かっこいい!これは偏見かな?

そんなに似てるとは思わないけど、同じもののように扱われるのが、フィロデンドロンやセロウム。こちらは切れ込みと言うよりは「でこぼこした葉」という感じです。種類もフィロデンドロン属といって、モンステラ属ではありません。

モンステラそのものと似ているわけではありませんが、まだ切れ込みの入らない、若いモンステラを育てたことがある人ならわかると思いますが、切れ込みのないモンステラはポトスにも似ています。とくに、斑入りモンステラはなかなか切れ込みの入らないものが多く、せっかく珍しい斑入りモンステラをもっていても、全然切れ込みがなかったりして、「これポトスでしょ?」と言われたりします・・・。また、巨大になったポトスの葉には切れ込みが入ったりすると言うからたちが悪い!

偽物にご注意と入ったものの、所詮はすべてサトイモ科ファミリー。全く違うものではないですからね・・・