Monstera Mania
モンステラを手に入れようとすると、1m以上もある大きなものや、まだ切れ目もない小さな株、最近流行の根立ち(根上がり、幹上がり)と様々な形が売っていて、迷ってしまいますね。しかし育ててみると、あっという間に大きくなり、全然違う形になってしまい、必ず植え替えや切り戻しなどが必要になってきます。
好きな形を買って維持するもよし。小さな子株をかって好きな形に仕立てるもよし。
モンステラは基本的に蔓性の植物。“へご”や支柱にくっつけて伸ばすのが一般的ですが、幹の部分の太さと長さしだいでは自立も出来るし、気根を使ったテクニックもあります。ここでは、私が自分で作り上げた形や、つくりたいと思っている形、実際にやっている人がいる形などを私のインテリアイラストで紹介します。是非これを参考に、個性的な葉のモンステラを、皆さんの思い思いに個性的なモンステラの仕立てに挑戦してください。(出来上がったら投稿してね!)
生産者の方も是非参考に。
今までは生産者が一番多くつくっていた定番の形ではないでしょうか。“へご”と呼ばれる植物性の支柱や、最近ではプラスチックのネット状の筒などに気根を 這わせ、垂直にわさわさと茂らせる仕立てです。ゴージャスな感じ?。僕の中ではサーフボードの置いてあるハワイアンな広いリビングにぴったりだと思ってい ます。ビルの入り口やお店などのレンタルグリーンもだいたいこれですね。モンステラの幹には、葉の出る方向と、気根の出る「腹」があるのだとか。それを見 極めてへごに気根を食い込ませるにはある程度テクニックが必要だそうです。
ポトスでは多い仕立て方なのに、モンステラではあまりやっている人はいません。でもヒメモンステラやミニマはほとんどポトスと同じ。簡単にできます。気根を生かせばポトスより個性的な感じになりますね。蔓性植物ならではの仕立て。デリシオーサでも出来ないことはないですが、巨大な吊り鉢があるのかな?でもデリシオーサの場合にも高いところからたれ下げる仕立てはあります。これは後日紹介します。
ヒメモンステラやミニマを吊り鉢などに入れる仕立てを、デリシオーサでやったらこんな感じがいいでしょう。これは実際にやってる人を雑誌で見たことがあります。ひょろひょろに伸びたデリシオーサ(大型のヒメモンステラでもいいです)で、葉っぱを少なめに、気根をいい感じに残せば、何とも言えない味わいが出るでしょう。アダルトなモダンリビングや和室にも絶対あいますね。芽は上に登ろうとするので、幹が折れないように、この形にするには、ある程度根気が必要です。いつか僕もつくってみたい仕立てです。
太い幹にエキゾチックな気根がぞろぞろと下がり、上に大きな葉っぱが2~3枚しかないというもの。竹を支柱にしているのがまたいい味わいになります。70年代のロンドンのインテリア書に載っていたものです。最近“根立ち”(根上がり・幹上がり)モンステラが人気ですが、これは僕がずっと前から理想的な形としてモンステラマニアで推奨してきた仕立てですので皆さんご存じですね。根立ちモンステラは、こんなかたちのモンステラを探して業者が増え、規格外から捨てていたひょろひょろのこんなかたちのモンステラを見つけたことから、昨年ブレイクしたようですが、一生懸命推奨し続けた甲斐があったというものです。でも、ほんものの根立ちは長い年月が必要です(最近の根立は太い幹を挿しただけのものも多いですが)。根立しなくても、竹を使った方が僕はモダンな感じがしますね。これをつくったイギリス人のセンスに感服です。モダン、クラシック、和、エキゾチック、ハワイアン、すべてにマッチします。太い幹に大きな葉はやはり魅力的ですね。
これも写真で何回が紹介してますが、切れ込みの少ないタイプのヒメモンステラやミニマは、幹をだらだらと伸ばした方がよい感じになったりします。「ミニマ盆栽」なんて名付けたので、つくるのが難しそうですが、実は、放っておいたらこうなった的な形なのです。デリシオーサよりしなやかな幹なので、伸びてくるとだんだん重力で傾きます。根元が鉢の縁に寄りかかったり、気根に引っ張られたりして、あるところでバランスがとれたり、下についてしまったりしたところで、芽は上に伸びようとしますので、このようにS字になります。セラミスなどを使えば、穴のない器が使えるので、いい感じの渋い器を見つけてくればなんでもOK。でも、もっと伸びてきたら、ここからが難しいですね。そのままサイドボードの上を這わせている知り合いもいました。それもいい感じ。売っている時は複数株が多いですが、一株にしたほうが味わい深くなりますね。
2005年ブレイクの大人気スタイルです。指宿の生産者で規格外として捨てていたモンステラが業者の目にとまり市場に出たらブレイク。2005年末に「現代農業」に掲載されてさらにブレイクしたようです。「竹仕立て」のところでも書きましたが、僕が推奨してきた「太い幹の上の方に2~3枚の大きな葉が理想的な形」というのを実現したものですね。しかし、気根で立ってしまうというところが“想定外”でした。長い年月をかけると、太い幹と何本もの太い気根でバランスを取ってしまうこの仕立てはエキゾチック感が最高ですね。呼び方はこのサイトにも書き込みをしてくれたBIGUPの中村さんが「根上がり」と名付けたようですが、市場では「幹上がり」当呼び名も出てきてます。ぼくがブログで以前書きましたが、「根上がり」というものは通常「根上がりの松」などのように、地中に埋まっている根が長い年月をかけて表に出てきてしまったりするもの。モンステラの場合は幹と気根なので、地中の根が出てきたのとは違いますが、イメージは近いですね。「幹上がり」とは、根元から株が分かれるオーガスターのような植物が、大きくなって、株が分かれる根元に一本になった幹のようなものが地上に出てくる現象です。これも、モンステラの場合はイメージが違いますね。そこで僕は気根で立っているので「根立ちモンステラ」とこのサイトで呼ぶようにしていますが・・・
最近はネットでたくさんの根立ちモンステラが出回っていますが、気根で立っていないものも多くあります。太い幹のものをある長さで切って地中に突き刺してしまば、当然自立するので、似たような形にはなりますね。これなら大きいモンステラを長めに天差しするだけ。簡単につくれます。まがい物といってしまえばそれまでですが、かっこよければよし。ポイントは何度も言いますが、ひょろひょろと伸びた太い幹の上に大きな葉が2~3枚。このシルエットがかっいいのです。でも、根立モンステラを手に入れても、すぐ伸びるモンステラですので、形を維持するためには、いつかは切り戻しをしなければなりません。だったら自分でつくるのもいいかも。
これは僕が住んでいる近くの店にあったものです。どんどん伸びるヒメモンステラをひもで吊って、ショウウインドウ一杯に斜めに伸びていました。インドアグリーンは天井を利用するのもアリですよね。工夫次第でいろいろな形になりそう。
植木鉢に悩んでいる方って多いですよね。僕も、いつも探していますが、なかなかこれだ、というものには巡り会いません。
この植木鉢は、ケーススタディーハウスに代表されるミッドセンチュリー建築に、モンステラと同じように必ずと言っていいほど登場するアーキテクチュアルポッテリーシリーズの植木鉢です。モンステラ同様、ミッドセンチュリーアイコン的デザインですね。日本でも陶器製のものをモダニカで、木と金属で出来たものをFUGAで復刻?してましたが、アメリカではオリジナルの図面から起こしたというVesselというところが、様々なタイプを復刻してます。(でもVesselのものは角が丸っこくて、昔の写真で見ていたものとちょっと雰囲気が違う気がするんですが・・・。)ほどよく伸びた中型のモンステラがぴったりです。このくらいの伸び方だと、ぎりぎりヘゴもいりません。このイラストのシルエットは、実際に僕が育てていたモンステラです。このころが絶妙なバランスだったのですが、それって一瞬なんですよね・・・
Monstera Mania
モンステラは強い植物と言っても、熱帯植物です。やはり暖かいところ、特に冬は注意しましょう。あまり寒いところに長時間おくと、さすがに葉が黄色くなって枯れてしまいます。最低でも3度以上は必要なようです。また、夏には逆に直射日光に注意しましょう。常に葉に湿度をあたえられるようならまだいいかもしれませんが、じょうろで水やりする程度なら、強い直射日光は葉が日焼けし、しおれてしまいます。『冬は日向の暖かいところ』に、『夏は半日陰の風通しのよいところ』というところです。すこしずつ日に当てて、葉肉を厚くすれば、外でも育てられるようです。
という記述がおおいですが…
僕が住んでいるのは東京ですが、ベランダで冬越しさせてます。
夏場は直射日光をガンガン当ててます。実感としては半日影がいいという記述よりは、当てるほどよく育つ感じです…。(黄色く日焼けする葉も一部あります)冬は何度も雪がかぶっています。枯れることはほとんどありません。ただし、雪がかぶったあとは、葉が枯れるパターンが多いです。その場合でも茎は生きていて、また暖かくなると葉がどんどんでてきます。
マンションの場合、どうしても部屋の奥まで日が当たらない場合が多く、部屋の中だけで育てると、ひょろひょろに徒長したモンステラになりやすいので、ベランダで上部に育てて、部屋に飾る、というやり方をしたりします。ちょっと面倒くさいですが、部屋に置く鉢と、ベランダとを、ローテンションしていくといいかもしれません。
あまり大きくなると、腰に危険なのですが…。
次は水やりです。一般によく言われているのは『冬は一週間に一回程度。夏は土の表面が乾けば毎日でも。あげる時は鉢の下から水があふれるほどたくさんあげる』というものです。しかし、僕の場合は冬はほとんど水をあげません。ほとんどほったらかしです。それでも、枯れたことはありません。反対に夏はどんどんあげます。時々外に出して、葉っぱにも水をかけてあげます。霧吹きなどでもいいでしょう。しかし、あまり土が乾かないうちに水をあげすぎるのは、根ぐされにもつながりかねないので注意しましょう。
長年「モンステラマニア」なんてWEBサイトをやっていますが、僕自身は無精な性格…。こまめな手入れや肥料やりなどが苦手です。そんな僕でも楽しめるのがモンステラ。水やりの目安は「しおれてきたら」。肥料は基本やらない。伸びたら切る。こんな感じです。手入れに追われず、その時々のモンステラの形を楽しむ。園芸家などから怒られそうですね…。なので、それをおすすめしているわけではなく、そんな人でも楽しめますよ、ということです。知り合いには、こまめに葉水や肥料をあげて、見事なつやつやの葉っぱのモンステラを育ててる人もいます。それを見ると、時々反省します…。
どんどん大きく育てたい場合は、大きな鉢に植え替える必要があります。キープしたい場合でも、ある程度大きくなると、根がいっぱいになって、根腐れをおこすことがあります。売っている時は、2~3株がひとつの鉢に植えられている場合が多いので、根が窮屈になりがちです。そんなときも大きな鉢に植え替えたり、一株ずつわけて植え替えたりした方がよいでしょう。
また、つる性の植物なので、普通に成長していくと自立できなくなります。仕立てのコーナーは別に設けましたので、そちらをご覧いただき、こちらでは、主に植え替えと切り戻しについて解説します。
まず古い鉢からモンステラを抜きます。絡み合ってる根っこをそっとほどいて、きれいに土を落としましょう。古い土はできるだけ落とします。
新しい植木鉢の底に軽石や、ゴロ土を入れたあと、土を入れます。この土はできるだけ水はけのよい土でなければいけません。鉢植えで売っているモンステラには、あまり良い土ではないものもよくあるので、そんなときも植え替えましょう。赤玉土3に腐葉土1の割合・・・なんて記述も多いですが、観葉植物用の土として売っていれば、大体大丈夫でしょう。次に伸びすぎてきた場合の「切り戻し」についてです。
切り戻しはモンステラを増やすチャンスでもあります。下記の図のように、適当な部分で茎を切り分けます。一番上の部分はそのまま別の鉢に挿して(天差し)育てられるので、その部分のみ、バランスを見て切ると良いでしょう。他の部分の茎は、5cmくらいの長さもあれば充分芽と根が出ます。小分けにした分だけモンステラを増やすことができます。簡単ですので是非挑戦してみましょう。
一番簡単なのは、小分けに切った茎を水につけておけば、根が出てきます。根が出たところで土に挿しておけば、芽が出始めます。これでOK!そちらのほうが確実ですが、僕の場合、切った茎をそのまま土に挿したりもしています。結構それでも育ちます。一番下のもとの鉢の部分は、全く葉のない状態になります。しばらくすると茎のある部分から別の芽が出始めますので、そこから大きくなります。
買ってきたあとや、植え替えたあとは、葉が黄色くなってどんどん枯れていくことがあります。環境がかわると、時々元気が無くなったりするのですが、モンステラは強靱な植物です。幹がまだ青ければ、じゅうぶんに復活する可能性があります。たとえ葉っぱが全部なくなっても、再び芽が出てきます。何故枯れてしまったのか、原因を突き止め、適した環境にしてあげれば、きっとまた芽が出てくるでしょう。
植え替えの時に、セラミスやハイドロで育てる方法に切り替えるのも手です。あまり大きいものは無理ですが、小さいものなら、じゅうぶん育ちます。ミニマは特におすすめです。セラミスは、清潔感があるだけではなく、鉢の下穴がいらないので、植木鉢の選択肢が大幅に広がります。グラスやカップ、陶器の器、花瓶のような器状になっているものなら何でも植えることができるので、インテリアにあわせて好きなものに植えて楽しみましょう。また、最近はサボテンや多肉植物、大柄の木なども水耕栽培で育てるのが流行しています。根の綺麗な形も楽しめ、水の透明感とあいまって、インテリアとしてもてはやされています。モンステラを水栽培している人はあまり見かけませんが、挑戦してみてもおもしろいのでは?
モンステラはどんどん伸びる植物なので、育てていると、伸びたら切るの繰り返しになります。もし広い部屋で育てているなら、伸ばし放題でもいいでしょう。とにかくひとつの形を維持することはできません。そこで、切る、伸ばす、植え替えるを駆使して、その時々のかっこいい形を追求するのもいいでしょう。どんどん伸びるので失敗も気になりません。いろんな仕立てに挑戦してみましょう。仕立ての参考例は、「仕立てコーナー」で。
Monstera Mania
僕がモンステラの魅力にとりつかれたのは、ミッドセンチュリーインテリアとの関係です。おおよそ1950~70年代のモダンインテリアスタイルを総じてミッドセンチュリーモダンと言いうことはご存じの方も多いと思いますが、バウハウスなどから始まったモダニズムが、第二次大戦を終えて、世界が豊かになるのと一緒に、鉄、アルミ、プライウッド、プラスチックを使った新しい家具、インテリアが一世を風靡しました。建築家も新しいモダンな家をたくさんつくり、アメリカのケーススタディハウスなどはその代表です。新しいモダン住宅は開口部が広く、内と外が曖昧な日本家屋を参考に、石の壁や床が、外から中まで一体になっていたり、間のサッシが大開放できたりし、グリーンを積極的にインテリアに取り入れました。50年代にはまだモンステラはあまり見られず、60年代の写真あたりから、急にモンステラの登場率が増えてきます。
この時代はジェットエイジ、スペースエイジという言葉もあるように、ジェット旅客機による海外旅行が始まり、宇宙ロケットが打ち上げあられ、月に人類が降り立った時代。人々、特に西洋、アメリカの人々は自分たちの生活環境以外のことを知りだし、もっと知りたいと思うようになった時代です。その一つに“エキゾチックブーム”があります。アフリカや東南アジアなどの原住民の細工やアートをモダンインテリアに飾りました。それと同時に、今まで見たこともないような熱帯の植物もたくさん持ち帰られ、新しい住宅に飾ったのです。そこでモンステラの登場です!
この時代の気分、雰囲気にモンステラはまさにぴったり。奇怪きわまりない葉の形状は、モダンインテリアにうってつけ!。それでエキゾチック感も抜群!。さらになぜだかわからないけど、和にもあう。まさにミッドセンチュリーインテリアの王様プランツだったのです。
僕の場合はミッドセンチュリーモダンとしてのモンステラが大好きなのですが、もう一つ忘れてはいけないのが、モンステラはハワイアンスタイルの視点から見ても、まさにアイコンなのです。ミッドセンチュリーのアイコンとしてモンステラを見てる人よりも、むしろハワイアンの象徴としての方が、歴史も深く、愛好者も多いでしょう。モンステラグッズを探した場合、たいていはハワイアンスタイルのものしか見つかりません。僕もモンステラ柄のアロハシャツをもってます。ほかに、ハワイアンキルト、ボタン、アクセサリー、テキスタイル・・・様々なものがあります。
しかし、ハワイアンとしてのモンステラ柄というのはみな同じようなデフォルメがされていて、僕には「なんか違うな~。こんな形じゃないな~。」といつも思ってしまうのです。
モンステラは、熱帯アメリカ原産と書かれているものが多いですが、ポリネシアにもあるし、東南アジアにもあります。そして、このところ投稿や友達から写真をもらったりなど、多く情報をいただく国が中国です。中国も暑いところは熱帯地方ですから、当然あってもおかしくないでしょう。屋外に巨大なモンステラ群が植えられている庭園の写真を友達からもらったことがありますが、もともと、中国にあったかどうかは未確認です。
和とは本来モダンなものです。かっこいい和空間には不思議とモンステラが似合ってしまいます。昔、ケーススタディハウスでもある、イームズ邸で開かれた茶会の写真がありますが、そのにも巨大なモンステラが。
和-モダン-エキゾチック-モンステラ はミッドセンチュリーのキーワードです。
Monstera Mania
植物園などへ行くとよく見られますが、デリシオーサには、水芭蕉のような形の花が咲きます。まん中の棒状のトウモロコシのような部分は、食べられます。小笠原諸島や翁は方面などでは、八百屋などに売っているらしく、以前、このサイトでも紹介しました。なんと、「デリシオーサ」の語源は「デリシャス」だったのです(と言う話)。沖縄に行った知り合いに買ってきてもらい食べるチャンスがありました。
詳しくはブログで紹介していますので、そちらをどうぞ。
モンステラの実を食った!デリシオーサはデリシャスだった?
モンステラの花と実
食べられるのは緑のうろこ状のものがはがれた下の部分。
モンステラの最大の特徴であるあの美しい“切れ込み”。いったいどのようにしてできるのでしょうか?新葉のでてくるところを見れば一目瞭然。モンステラを育てて、まず最初に味わえる感動でしょう。ネットなどで、「葉っぱが大きくなるにつけだんだん切れ込みが入ってきます」という表現をよく見つけますが、これが誤解を生みやすく、おそらく「株が小さいうちに生えてくる、小さい葉っぱはまだ切れ込みが無く、つぎつぎ新しい葉っぱがでて、大きくなるにつれ、切れ込みの入った葉っぱがでてくる」と書きたかったのでしょう。初めのような書き方だと、まるで「開いた葉っぱが大きくなるにつれ、切れ込みが入る」ように誤解してしまいます。実際そう誤解している人もいるようです。
写真を見ていただければわかるとおり、新しい葉がでてくる時は、大きい葉っぱをぐるっと筒状に丸めた状態で延びてきます。それがどんどん長くなって、あるところまで来ると、ほどけるように開きはじめるのですが、このときにはすでに切れ込みが入っています。
開いた葉っぱは新芽らしく、他の濃い緑とは全然違うまさに若葉色。完全に開いた 状態から、さらに一回り大きく厚くなり、他の色と同じになります。
開いたばかりの葉の切れ込みの先端は、かろうじてくっついています。つまり「切れ込み」だと思っていましたが、実は「穴」だったんですね。このつながりを切っちゃおうか、そのままにしておこうか、いつも迷ってしまいますが、しばらくすると(特に葉が乾燥すると)ねじれて切れてしまいます。(もしかしたら、このときが葉の完成なのかも・・・)
気根〜「幹立ちモンステラ」「根上がりモンステラ」「根立モンステラ」ブーム
モンステラのもう一つの特徴であるのが、この根っこのようなもの。そう、根っこです。「気根」といって、これが電線のように伸びるから別名「デンシンラン(電信蘭)」と書いてある本もありました。(「電線」のようなのになぜ「電信」なのかわかりませんが)
気根の成長も早く、気がつくとものすごく長くなっています。その先端は、まるで土を探し回っているようにあたりをまさぐり、土を見つけると潜っていきます。表面は茶色い皮で覆われ、曲げるとピキっと割れ、中には黄緑色の茎が見えます。だらっと伸ばすと、やはりジャングルの植物だな、と思わせるような怪しさを倍増させます。
壁などにくっつくと、だんだん吸着していき、葉がしても跡が残ったりするので、注意が必要です。
途中から切ると、枝分かれしてまたすぐ伸びてきます。根元から切ると、比較的伸びてこないようです。
一時期、「幹立ちモンステラ」「根上がりモンステラ」「根立モンステラ」という物が流行し、ネットなどで高額で取引されていました。
ヘゴなどに頼ることなく、幹が立ち上がり、何本もの気根が土に刺さることで、幹を支えるように生えているもので、そのシルエットのかっこよさ、目新しさから、一世を風靡しました。
このモンステラマニアが始まった頃(2000年)、ほとんどがヘゴ仕立てのモンステラか、ヘゴがいらない小さいモンステラしか売っていなかったので、古い書物などで見るような、ひょろひょろに伸びた幹に大きな葉が2〜3枚しかついてないような仕立て(それは竹で支えていましたが)を紹介しました。
生産者の方達たちは、今までは立派なヘゴに立派に茂った物しか売れないと思い込み、ひょろひょろに育って葉がちょっとしかついていないような物は、B級品としてハウスの端っこに捨てられるように置いてあったようです。
このモンステラマニアを見て、そんなひょろひょろの物が売れるのかと売り出したところ、大ヒットし、大変なブームになりました。
ただ、根上がりや幹立ちという呼び名は、他の植物で実際に使う呼び方で、モンステラに関してはちょっと当てはまらないとおもい、このモンステラマニアでは「気根の支えによって自立するもの」ということで「根立モンステラ」と呼んでいました。
今は、幹を太く育てて、自立できる長さに切ってさした状態の物がよく売られています。気根が無くても、幹が太く育っているので、ある程度までは自立します。
自然の中では、このように気根が岩などに張り付いて伸びていきます。太くなった幹は、写真のように木質化していきます。
くっつくところがない気根は、このようにだらっと伸びていきます。(植物園によくある気根のトンネル)
サトイモ科によく見られる現象ですが、時々、葉の先端にしずくをつくることがあります。“GUTTATION”と呼ばれる現象らしく、根から水を吸い上げる力の強い植物が、吸い上げた水を葉から蒸散できない時に、水滴になるらしいです。水やりのタイミングや温度・湿度の関係で出てくるようです。多い時は床にシミができるほどもしたたるので、高価なサイドボードや電気製品の上に置くのは注意が必要です。
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モンステラは大きくはクワズイモ、アロカシアなどと同じサトイモ科に属し、モンステラ属としては25種類とも、40種類あるとも言われています。
主に熱帯アメリカ原産で、クワズイモ科モンステラ属。
「モンステラ」はラテン語で「怪物」とか「異常」という意味で、モンスターと語源が同じではないかと思います。あの独特の葉の形状から来ているので しょう。日本では「蓬莱蕉(鳳来蕉(ほうらいしょう)」とか「デンシンラン(電信蘭)」と呼ばれたりもするようです。「デンシンラン(電信蘭)」は茎から どんどん伸びてくる気根から来ているらしいです。その他に、イギリスなどでは「スイスチーズプランツ」と呼ばれている話を聞きました。トムとジェリーに出 てくるチーズのように、丸い穴がたくさん開いていることから、そう呼ばれているようです。
その他に“ceriman”とか“fruit-salad plant”などの呼び名を聞いたことがあります。
モンステラ属の中には、ハネカズラなど、いわゆるモンステラの形とは全く違う種類もあります。
ここでは、主に日本で販売されている、いわゆるモンステラ・デリシオーサの特徴的な葉の形をしている物だけについて解説します。マドカズラも省きます。
日本で売られているモンステラには、大きく分けて2種類あると思われます。
しかし2010年くらいに、モンステラの分類が少し変わったという経緯があります。
この「モンステラ・マニア」でも過去の分類は、下記のようになっていました。
—— 旧分類 ——
モンステラ・デリシオーサ
モンステラ・ペルツーサ
モンステラ・アダンソニー
モンステラ・ミニマ
上から大きく育つ種類、下へ行くほど小さい葉っぱの種類ということですが、ミニマ以外は、境目は曖昧で、
ペルツーサやアダンソニーを育てていたら、大きくなってデリシオーサだったということもありました。
また、「ヒメモンステラ」として売っている物も2種類あり、アダンソニーだったり、ミニマのことをヒメモンステラとして売っていたりします。
しかし、2006年くらいから海外で、2010年くらいから日本でも、モンステラの分類について解釈の変化があったようです。
このモンステラ・マニアのBBSでも、2011年にTeToさんの書き込みから、モンステラの分類の変化について、議論が繰り広げられました。
今ではおおむね下記のようになっています。
—— 新分類 ——
モンステラ・デリシオーサ
モンステラ・ボルシギアナまたは、デリシオーサ以外の物…
(それぞれ斑入りもある)
ラフィドフォラ・テトラスペルマ ← 旧モンステラ・ミニマ
モンステラ・デリシオーサ
モンステラ・ボルシギアナ
ラフィドフォラ・テトラスペルマ ← 旧モンステラ・ミニマ
斑入りのモンステラ・デリシオーサ
斑入りのモンステラ・ボルシギアナ
デリシオーサはそのままに、ペルツーサや、アダンソニーといわれていたものは、海外ではマドカズラの大きい物だったりと、日本と海外でギャップがあり、どうやら日本に間違って伝わっているのではないかということです。ボルシギアナという名前も使われているのですが、はっきりしません。
小さいモンステラも、環境のいいところで育てると、デリシオーサだったりすることが多く、そもそも種類が同じなのではという話しもあります。
小さくても切れ込みが大きく、穴が空いたりするコンパクタという園芸種も存在しますが、ボルシギアナやデリシオーサでも、環境によってそのようになったりするので、そのあたりもはっきりしません。
これらについては、過去のBBSでかなりマニアックな議論がありました。海外のサイトや、国際サトイモ科協会のページ、古い書物なども参考にしながら、結局デリシオーサ以外の種類についてははっきりしないという結論になっています…。
詳しくは過去のBBS記事をご一読ください。
いちばん大きく変わったのは、ミニマといわれていたものが、そもそもモンステラの種類ではなかったということです。
原産も、東南アジアであることがわかり、ラフィドフォラ属になりました。
旧モンステラ・ミニマ→ラフィドフォラ・テトラスペルマ
これについても、過去のBBSで議論がありました。
今では、多くの書物で、「モンステラの仲間であることは間違いで」というように書かれていますが、2010年以降に分類が変わった物です。
いまでも、ヒメモンステラとして売られているのもよく見かけます。
これらは、いわゆるモンステラの形状をした物の分類で、モンステラ属としては、穴の空いた葉の「マドカズラ」や、全く葉の形が違うハネカズラなどいくつか種類があります。
また
デリシオーサやボルシギアナには、それぞれ斑入りの種類が存在します。
モンステラに近い仲間で、フィロデンドロン属というのもあります。フィロデンドロン属も非常にポピュラーで、種類がたくさんあります。たまにモンステラと間違えられたり近い物として紹介されるセロームやクッカバラなどもフィロデンドロン属です。
また、販売店でよく波違って表記されているものに、ハブカズラというものがあります。こちらはポトスなどと同じ仲間のエピプレムヌム属です。
モンステラとフィロデンドロンの表記についても混乱する情報がたくさんあります。
こちらも過去BBSをご参照ください。
最終的に、現在の分類は、「モンステラ・デリシオーサとそれ以外」という、乱暴な表記になってしまいましたが、植物園などをまわっていると、明らかに切れ込み方が違うなと思う物が時々あります。環境から来る形状ではなく、種類の違いなのではないかという感じですが、過去に、家で育てていたモンステラの中の葉の一枚だけが、そういう感じの切れ込み方、穴の空き方をしたことがあり、やはり種類ではなく、環境による物なのか?謎が深まるばかりです。
分厚い書物や海外のサイトでは、もっとたくさんのモンステラが紹介されています。英語版のウィキペディアでも48種類紹介されています。
日本にも少しずつ、新たな品種がはいってくるかもしれないですね。
以前はモンステラの種類について「モンステラを見分ることは不可能論」というタイトルで紹介していたのですが、このように誤った情報が入ってきていたり、園芸業界で勝手に名前をつけたりして、混乱していたことが原因かもしれないですね。
分類を議論することは楽しいですが、それに振りまわされずに、楽しく育てるということも重要です。
ということで、このモンステラ・マニアのWEBサイトでは、過去にラフィドフォラ・テトラスペルマがモンステラ・ミニマとして扱われていたため、育て方や仕立て方にはそのまま登場しているところもあります。ご了承ください。モンステラ属ではなくなったミニマですが、僕の中ではモンステラ族として扱っています…。
穴の空き方が普通じゃないモンステラ。切れ込みより外側まで穴が空くのはあまり見たことがない。(栃木花センター)
切れ込みが異常に深いモンステラ(新宿御苑)
見事なラフィドフォラ・テトラスペルマ ← 旧モンステラ・ミニマ
モンステラ属ではないのに、モンステラによく間違えられる植物があります。いちばん多く間違えられるのが「マングーカズラ」です。園芸店ですら、「マングーカズラ」と「モンステラ」の名札が、あべこべにつけられていたこともあります。また、知り合いで、有名な園芸店に「モンステラ」を注文したところ「マングーカズラ」が届いて、その知人は本物のモンステラを見たことがなかったので、僕に指摘されるまで気づかなかった、なんてこともありました。よく見ると、すこし“しおれた”ように、葉が“しなっ”としていて、葉脈の筋がはっきりとし、本数も多いので、すぐわかります。似ているけど、モンステラの方が断然かっこいい!これは偏見かな?
そんなに似てるとは思わないけど、同じもののように扱われるのが、フィロデンドロンやセロウム。こちらは切れ込みと言うよりは「でこぼこした葉」という感じです。種類もフィロデンドロン属といって、モンステラ属ではありません。
モンステラそのものと似ているわけではありませんが、まだ切れ込みの入らない、若いモンステラを育てたことがある人ならわかると思いますが、切れ込みのないモンステラはポトスにも似ています。とくに、斑入りモンステラはなかなか切れ込みの入らないものが多く、せっかく珍しい斑入りモンステラをもっていても、全然切れ込みがなかったりして、「これポトスでしょ?」と言われたりします・・・。また、巨大になったポトスの葉には切れ込みが入ったりすると言うからたちが悪い!
偽物にご注意と入ったものの、所詮はすべてサトイモ科ファミリー。全く違うものではないですからね・・・
Monstera Mania
1950~70年代くらいに世界中で観葉植物として一世を風靡した“モンステラ”。
当時、インテリア、家具デザインはモダンで自由なデザインが流行し、それにあわせるように個性的でエキゾチックな形をした、さまざまな熱帯植物を、観葉植物として取り入れていきました。
その中でももっとも個性的で美しいモンステラは、当時のインテリア写真に必ずと言っていいほど登場するアイコン的観葉植物です。
現在は“ミッドセンチュリーモダン”と言われる1950~70年代のインテリアが再び見直され、それを参考にしたインテリアや家具に人気が集まり、 若い人たちもそれぞれにこだわりのインテリアを楽しんでいますが、インテリアの重要な要素である観葉植物にはあまりこだわりがなかったりします。
インテリアの変遷とともに、観葉植物の流行も変化しています。50年代の“ゴムノキ”。70年代の“ポトス”や、“オリヅルラン”。80年代の“ベ ンジャミン”。90年代初頭の“パキラ”。90年代後半の“クワズイモ”。それぞれの植物の形を見ると、その時代のインテリアが思い浮かんでしまうのは、 インテリア好きな私の偏見でしょうか?
でも、ミッドセンチュリーモダンインテリアにはなんと言っても“モンステラ”です。当時の椅子のカタログ写真などの端の方にモンステラの葉っぱがシルエットで入っていたりすると、椅子も断然かっこよく見えます。カメラマンも意識していたのでしょう。
当時のインテリアをイラストにすることを仕事としている私が、そのアイコン的観葉植物“モンステラ”に魅了され、その魅力をみなさんにもわかってもらいたいと、こんなWEBサイトをつくってしまいました。
このサイトの目的はあくまで、モダンなインテリアをいっそう引き立たせる“モンステラ”の魅力を紹介したいのであり、植物好きのサイトと言うよりはインテリア好きのサイトですが、そんな堅苦しい話はぬきにして、モンステラの世界を楽しんでください。
さあ、あなたの部屋にも“モンステラ”を。
では、簡単にモンステラという植物について紹介します。
モンステラは大きくはクワズイモ、アロカシアなどと同じサトイモ科に属し、モンステラ属としては25種類とも、40種類あるとも言われています。
「モンステラ」はラテン語で「怪物」とか「異常」という意味で、モンスターと語源が同じではないかと思います。あの独特の葉の形状から来ているので しょう。日本では「蓬莱蕉(鳳来蕉(ほうらいしょう)」とか「デンシンラン(電信蘭)」と呼ばれたりもするようです。「デンシンラン(電信蘭)」は茎から どんどん伸びてくる気根から来ているらしいです。その他に、イギリスなどでは「スイスチーズプランツ」と呼ばれている話を聞きました。トムとジェリーに出 てくるチーズのように、丸い穴がたくさん開いていることから、そう呼ばれているようです。
その他に“ceriman”とか“fruit-salad plant”などの呼び名を聞いたことがあります。“fruit-salad plant”でWEB検索すると、ペット(特に猫)に有毒であるという情報が多く出てきます。特に海外で、「モンステラは猫が噛むと有毒なので注意」とい う情報をよく見ます。日本の書籍などでは、ほとんど目にすることはないのですが・・。僕の知り合いにも猫を飼いながらモンステラを育てている人は何人かい ますが、猫が毒でやられたという話は聞いてません。
たまに“breadfruit”と書いてあるサイトなどを見たことがあります。“breadfruit”を検索すると、ほとんどは“パンノキ”が ヒットします。また、ハワイアンの雑貨などによくある、モンステラとは違うギザギザの葉っぱの模様を“モンステラ”と紹介されているものも時々見かけま す。パンノキの葉は、やはり切れ込みがあります。しかし、モンステラの切れ込みとはまるで違い、切れ込みと言うよりは出っ張りとも言えます。モンステラ も、パンノキも、どちらもハワイアンによく使われる柄で、混同されているのではないか?と言うのが僕の想像です。モンステラの葉を絵に描くと、輪郭を単に グニャグニャに書く人も多いですから、誤解されやすいですね。モンステラマニアから見れば「全然違うのに」と思うのですが。
余談ですが、うちの近くの沖縄料理屋の看板に、僕がイラストに押している落款(印)とそっくりのマークを使っていて、まねされたと思い、しかし何故 沖縄料理にモンステラ?まあ沖縄にもあるのかな?」と思って、店員に聞いてみたら、「ゴーヤの葉っぱです」って言われました。家に帰って調べてみると、 「全然ちがうじゃん!」。確かに切れ込みはあるけど、パンノキと同じ、どちらかというと出っ張り。あれは、単によく観察せずにゴーヤの葉っぱをマークにし たらモンステラにたまたま似てしまったのか(それにしても似過ぎなのだが・・・)。
モンステラ属には25~40種類程度あるという話をしましたが、いわゆるデリシオーサのような切れ込みのある葉をもっているのは、ヒメモンステラ (アダンソニー)、ペルツーサ、ミニマ、それに斑が入ったものです。「ヒメモンステラをペルツーサは同じ」とか「ヒメモンステラとミニマは同じ」とかいろ いろ言われていますが、その話は後ほど・・・
ほかに、切れ込まずに、丸い穴がたくさん開くマドカズラ(フリードリッヒスターリー)や、全く切れ込みがないハネカズラ、パンドラなどがあります。
育て方は観葉植物の中でも簡単な方で、よっぽどひどい環境でなければ、あまり枯れることはありません。詳しい育て方も別の項で詳しく書きます。