Monstera Mania
1950~70年代くらいに世界中で観葉植物として一世を風靡した“モンステラ”。
当時、インテリア、家具デザインはモダンで自由なデザインが流行し、それにあわせるように個性的でエキゾチックな形をした、さまざまな熱帯植物を、観葉植物として取り入れていきました。
その中でももっとも個性的で美しいモンステラは、当時のインテリア写真に必ずと言っていいほど登場するアイコン的観葉植物です。
現在は“ミッドセンチュリーモダン”と言われる1950~70年代のインテリアが再び見直され、それを参考にしたインテリアや家具に人気が集まり、 若い人たちもそれぞれにこだわりのインテリアを楽しんでいますが、インテリアの重要な要素である観葉植物にはあまりこだわりがなかったりします。
インテリアの変遷とともに、観葉植物の流行も変化しています。50年代の“ゴムノキ”。70年代の“ポトス”や、“オリヅルラン”。80年代の“ベ ンジャミン”。90年代初頭の“パキラ”。90年代後半の“クワズイモ”。それぞれの植物の形を見ると、その時代のインテリアが思い浮かんでしまうのは、 インテリア好きな私の偏見でしょうか?
でも、ミッドセンチュリーモダンインテリアにはなんと言っても“モンステラ”です。当時の椅子のカタログ写真などの端の方にモンステラの葉っぱがシルエットで入っていたりすると、椅子も断然かっこよく見えます。カメラマンも意識していたのでしょう。
当時のインテリアをイラストにすることを仕事としている私が、そのアイコン的観葉植物“モンステラ”に魅了され、その魅力をみなさんにもわかってもらいたいと、こんなWEBサイトをつくってしまいました。
このサイトの目的はあくまで、モダンなインテリアをいっそう引き立たせる“モンステラ”の魅力を紹介したいのであり、植物好きのサイトと言うよりはインテリア好きのサイトですが、そんな堅苦しい話はぬきにして、モンステラの世界を楽しんでください。
さあ、あなたの部屋にも“モンステラ”を。
では、簡単にモンステラという植物について紹介します。
モンステラは大きくはクワズイモ、アロカシアなどと同じサトイモ科に属し、モンステラ属としては25種類とも、40種類あるとも言われています。
「モンステラ」はラテン語で「怪物」とか「異常」という意味で、モンスターと語源が同じではないかと思います。あの独特の葉の形状から来ているので しょう。日本では「蓬莱蕉(鳳来蕉(ほうらいしょう)」とか「デンシンラン(電信蘭)」と呼ばれたりもするようです。「デンシンラン(電信蘭)」は茎から どんどん伸びてくる気根から来ているらしいです。その他に、イギリスなどでは「スイスチーズプランツ」と呼ばれている話を聞きました。トムとジェリーに出 てくるチーズのように、丸い穴がたくさん開いていることから、そう呼ばれているようです。
その他に“ceriman”とか“fruit-salad plant”などの呼び名を聞いたことがあります。“fruit-salad plant”でWEB検索すると、ペット(特に猫)に有毒であるという情報が多く出てきます。特に海外で、「モンステラは猫が噛むと有毒なので注意」とい う情報をよく見ます。日本の書籍などでは、ほとんど目にすることはないのですが・・。僕の知り合いにも猫を飼いながらモンステラを育てている人は何人かい ますが、猫が毒でやられたという話は聞いてません。
たまに“breadfruit”と書いてあるサイトなどを見たことがあります。“breadfruit”を検索すると、ほとんどは“パンノキ”が ヒットします。また、ハワイアンの雑貨などによくある、モンステラとは違うギザギザの葉っぱの模様を“モンステラ”と紹介されているものも時々見かけま す。パンノキの葉は、やはり切れ込みがあります。しかし、モンステラの切れ込みとはまるで違い、切れ込みと言うよりは出っ張りとも言えます。モンステラ も、パンノキも、どちらもハワイアンによく使われる柄で、混同されているのではないか?と言うのが僕の想像です。モンステラの葉を絵に描くと、輪郭を単に グニャグニャに書く人も多いですから、誤解されやすいですね。モンステラマニアから見れば「全然違うのに」と思うのですが。
余談ですが、うちの近くの沖縄料理屋の看板に、僕がイラストに押している落款(印)とそっくりのマークを使っていて、まねされたと思い、しかし何故 沖縄料理にモンステラ?まあ沖縄にもあるのかな?」と思って、店員に聞いてみたら、「ゴーヤの葉っぱです」って言われました。家に帰って調べてみると、 「全然ちがうじゃん!」。確かに切れ込みはあるけど、パンノキと同じ、どちらかというと出っ張り。あれは、単によく観察せずにゴーヤの葉っぱをマークにし たらモンステラにたまたま似てしまったのか(それにしても似過ぎなのだが・・・)。
モンステラ属には25~40種類程度あるという話をしましたが、いわゆるデリシオーサのような切れ込みのある葉をもっているのは、ヒメモンステラ (アダンソニー)、ペルツーサ、ミニマ、それに斑が入ったものです。「ヒメモンステラをペルツーサは同じ」とか「ヒメモンステラとミニマは同じ」とかいろ いろ言われていますが、その話は後ほど・・・
ほかに、切れ込まずに、丸い穴がたくさん開くマドカズラ(フリードリッヒスターリー)や、全く切れ込みがないハネカズラ、パンドラなどがあります。
育て方は観葉植物の中でも簡単な方で、よっぽどひどい環境でなければ、あまり枯れることはありません。詳しい育て方も別の項で詳しく書きます。