1969年、イギリスのインテリア書籍「YOUNG DESIGNS IN LIVING」

 【モンステラマニア日記】モンステラマニア誕生記〜祝20周年〜 のブログで、このWEBサイト「モンステラマニア」がどのようにして誕生したかを書いた。実はそのブログで書ききれなかった話がある。
 古いインテリア書籍にモンステラがたくさん登場していた話は書いたが、そのモンステラの形、仕立て方というのが、実にバラエティーに富んでいた。今でこそ、様々な形のモンステラがホームセンターでも、フラワーショップでも、またネットでも手に入るが、モンステラマニアをはじめた20年前は、売っているモンステラのほとんどが大きな鉢の真ん中に太い四角いヘゴの支柱が刺さり、そのヘゴにへばりつくようにまっすぐ上に育った、わさわさ茂ったモンステラばかりだった。一時期のベンジャミンが、二本のねじれた幹がまっすぐのび、その上の方だけに丸く刈り上げられた葉が茂る仕立て方ばかりだったように、当時モンステラといえばその仕立て。その形こそがモンステラであるというような売り方だった。しかし、古い書籍に出てくるモンステラは、もっと自由だった。ひょろひょろに徒長した茎を紐でつるしたり、蔓状に下にたれるように仕立てられたり。育てば当然いろいろなのび方をするのだから、いろいろな形があって当たり前なのだが、なぜか20年前はステレオタイプとしてヘゴ仕立てのモンステラしか売っていなかった。

 イギリスの60年代のインテリア書籍として有名な「YOUNG DESIGNS IN LIVING」を手に入れて、パラパラとめくっていくと、そこに写っているモンステラに衝撃を受けた。モダンとちょっとクラシックが折衷したインテリアの中央からちょっと左寄りに堂々と置いてあるモンステラ。少し装飾的でペデストリアルな黒い植木鉢に、下のほうは葉が全部切り落とされ、すごく太く育った幹が伸び、気根だけが3,4本下まで伸びて土に刺さっているという、何とも荒々しい風貌。そして一番上に見事な大きさの穴だらけの葉が3枚だけ開いていて、それを支えるように、細く茶色い乾いた竹が差し込まれている。

 なんだこのかっこいいシルエットは!こんなモンステラは見たことがない。既にモンステラに魅了されていたのだが、さらにもっとかっこいい、なにか新しい植物を見つけたかのような衝撃だった。そのとき、観葉植物は仕立て方次第で、まるで違う植物かというくらい印象が変わるのかということを知った。

 それをだいぶ前にもブログか何かに書いた。するとそれを見たモンステラ生産者関係の人がまた衝撃を受けたようで、この写真のように、下の方に葉が無く、幹が伸びたモンステラは今まで売り物にならないと思い捨てていたという。そんなものが売れるのかと、半信半疑でそれを売ってみたら大人気となり、一時期値段がどんどん高騰した。それが「根上がりモンステラ」「幹立ちモンステラ」だ。わざわざ鹿児島から生産者関係の方が我が家まできて、一緒に「根上モンステラ」を売ろうという話しを持ちかけられたが、当時僕の方にそういう余裕が無く、話はまとまらなかった。形を変えるとまた別の売れ方をするという事例が、当時の生産者の業界紙でも取り上げられ話題となった。一度ステレオタイプ化された仕立の観葉植物も、仕立て方を変えると新しい需要を開拓できることは業界全体でも革新的だったかもしれない。僕のような楽しむものとしても、仕立ての重要性を知ることができたのは大きかった。

 それくらいこの1枚の写真はまさに重要な1ページなのだ。タイトルもまんざら大げさではないだろう。

 この「YOUNG DESIGNS IN LIVING」の表紙、どこかで見た覚えはないだろうか?そう、我が家のインテリアが掲載されたとして以前紹介した「昭和インテリアスタイル」の表紙は、我が家にあったこれにインスパイアされたものだ。SNSで、他にもこれに気づいている人がいた!

 ちなみに、表紙裏のこの模様も我が家のカーテンです。

昭和インテリアスタイル好評発売中。

9月 16日 水曜日  秋雨前線南下中。セミの声も弱々しくなってきた。